【第2回】積立投資の状況

投資信託に関する意識調査コラム2022

このコラムでは、野村アセットマネジメント資産運用研究所で2022年3月に実施した「投資信託に関する意識調査」のアンケート結果より、投資信託を保有したきっかけや保有していない理由、NISA制度や積立投資の利用状況などについてご紹介します。

前回のコラムでは、若い方の多くがつみたてNISAをきっかけに投資を始めているというデータをご紹介しました。第2回は、積立投資の利用状況などに関するアンケート結果を見てみましょう。

積立投資の利用率は約3割

図1は、年代別にどれくらいの方が積立貯蓄や積立投資を利用しているのかを示したものです。全体の半数以上は積立という仕組みを活用しており、約3割は積立貯蓄と積立投資の両方を利用しています。積立投資のみを利用している方は2%と少ないのですが、積立貯蓄のみを利用している方は24%とそれなりの比率となっています。
年代の違いに目を向けると、年代が上がるにつれて積立貯蓄と積立投資の両方を活用している人の比率が減っていき、積立貯蓄のみを活用している方が増える傾向がみられます。

図1 年代別 積立貯蓄/投資※1の利用割合

図1 年代別 積立貯蓄/投資※1の利用割合の図

※1 「積立」とは、毎月など定期的にあらかじめ決めた金額を貯蓄・投資することを指す。不定期なものや、都度入金額が異なるものは除く。「貯蓄」は現金、預貯金、定期預金などを指す。「投資」は金融商品等への投資を指し、貯蓄及び住居・土地などの不動産は除く。

積立投資を利用する理由は「預金しておくよりも利益が得られる可能性が高いから」

積立投資を利用していると回答した方へその理由を尋ねたところ、「預金しておくよりも利益が得られる可能性が高いから」を選んだ方の割合が約半数を占めており、どの年代にも共通していました(図2)。
一方で、年代毎に違いが見られた項目もあります。「つみたてNISAなど制度面で有利だから」や「ライフイベントに備えるため」は、特に20代、30代で割合が高くなっています。つみたてNISAの非課税枠を利用して、毎月無理のない金額で積立投資を行い、結婚や住宅購入などのライフイベントに備えているのかもしれません。

図2 積立投資を利用する理由

図2 積立投資を利用する理由の図

積立投資を利用していない理由は「資金がない」

積立投資を利用していない方に、どのような理由から利用していないのかを尋ねたところ、どの年代でも「投資する資金がないから」を挙げる割合が大きくなりました。

若い世代ほど、「積立のやり方について知らなかったから」や「投資経験や知識が少なく何を買ってよいかわからないから」の回答が多い傾向にあります。特に、積立投資の方法を知らない人は、全体で25%となりました。投資対象として何を買うか、といったことももちろん大切です。しかしそれ以前に、どうやって買うか、という購入の方法についても投資結果を左右する重要な要素といえそうです。まとまったお金がなくても取り組める積立投資、その購入の方法を知るということが投資の選択肢を増やすことにつながるといえるでしょう。

図3 積立投資を利用しない理由

図3 積立投資を利用しない理由の図

では次に、積立投資を利用している方が、毎月どれくらいの金額を積み立てているのかを見てみましょう(図4)。「1~2万円未満」が14%と最も多くなっていますが、2番目に多い金額は「1,000円未満」であることがわかります。
投資はまとまったお金がないと始められないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、1,000円以下の金額でも積立投資ができる金融機関も増えているようです。自分にとって無理なく続けられる金額から、積立投資を始めてみるという方法もあるでしょう。

図4 積立投資の毎月の投資額

図4 積立投資の毎月の投資額の図

投資パフォーマンスの良い人は積立投資の経験者が多い

図5は、投資を始めてからこれまでのおおよその成果(投資パフォーマンス)別に、積立投資の経験があるかどうかを聞いたグラフです。投資パフォーマンスが5%以上と回答した方(図5の「+15%以上」と「+15%未満」)の約半数が積立投資の経験があると回答しました。因果関係を示すものではない点には注意が必要ではありますが、投資パフォーマンスの良い人は積立投資の経験者が多いという結果には興味深いものがあります。投資パフォーマンスは、投資をはじめたタイミングや期間などにより大きく異なることがありますが、積立投資により投資タイミングを分散させることで、効果が表れているのかもしれません。

図5 投資パフォーマンス別 積立投資の経験有無

図5 投資パフォーマンス別 積立投資の経験有無の図